・・・というタイトルは別段わたしが『明日のジョー』の熱烈なファンであるということではありません。しかしなぜか妙なときに頭のなかで鳴り響くフレーズです。それはサービスの壁にぶちあたったとき。アメリカに行くとしばしばサービスカウンターの人が何もしてくれないという場面に遭遇します。ケーブルテレビが壊れた、水道が壊れた等々、いろんな場面でなぜかサービスを受けるのに非常に苦労するのです。
ある日、ワシントンDCにて。なにをどうしたか転んで、どうやるとそうなるのか不明ながら足の甲を激しく擦りむいて、そのうち足首まで腫れて9度近い熱も出てしまった。予約もない患者のわたしが症状を訴えると、「よっしゃ、それなら君はER(救急医療室)行きだ。なんたって君は歩けないんだ(ということに)。怪我が酷いんだからね!さあ車いすに乗ってレッツゴー!」。その後、なんといってもERに行くにしては軽症ですから、4時間待たされて治療を受け、今度は処方箋を手に薬局に。30分かかるというのでふらふらになりながらも近所で時間をつぶし念のため35分くらいしてから行くと、まだできていない。10分したら来てと言われたのでさらに10分後に行ったらまだできていない。処方箋が積み上がっているようにも見えないし、4人もいるのにおしゃべりばかりしていて手を動かしてないじゃないか・・・。「あのですね。今度こそ、あと何分したらわたしが確実にお薬をもらえるのか、きちんと教えてください。高熱でふらふらで、そのための薬をいただきに来て、何分後と言われた時間に戻ってきているのに薬をいただけません。あと何分待てばよいのでしょうか。何時何分にもらえますか!」(立て、立つんだ、ジョー)。そして一分後、薬は出てきたのでした。
そして去年、再びDCにて。ボストンからのD航空の飛行機が悪天候キャンセルになり、翌日の便も取れずに鉄道で行くはめになったので、当然のことながらその払い戻し交渉。なにしろ国のお金で出張しているのですから。このときはアメリカ国内のDも含めN航空から一括で購入していたのでN航空のサーヴィスセンタ—に電話をすることに(ここまでもすでに長い道のり)。出てきた人は「いえ、お客様がキャンセルなさったので払い戻しはできません」の一点張り。「いいえ、わたしがキャンセルしたのではなく、会社がフライトを取りやめたんです」からはじまり(立て、立つんだ、ジョー)、Dのキャンセルが正式に確認されたら、今度はDのキャンセルはNの責任じゃないから払い戻せないと言い、そのあげく「NにもDにも払い戻しの責任はない」と。(立て、立つんだ、ジョー)「そうですか。しかし私の意志によるキャンセルではない以上、責任が私にないこともまた明白です。また、わたしはお金を払い込みましたが、それはN社をつうじてD社に行っています。そのお金を逆に戻せばよいだけです。それにもかかわらずどちらの航空会社にも払い戻し責任がないとおっしゃるのであれば、D、N連名でわたしの勤め先のpresidentに、航空会社の側がキャンセルした航空便に払い戻しをしないのはなぜかという理由を書いた公式文書を提出してください。わたしは税金でここに来ているのですから」。これにより無事払い戻しプロセスが発動。ほとんど脅しに近い文句ですが、しかし先方の理不尽に屈しているわけにはいきません。だって税金ですし。
なんだかこう書いてくると、ゴネてるおばさんという気がしてきます。いや、しかし、なぜ当たり前のサービスが当たり前に受けられないのか。もちろんたいていはとても親切にしてもらえて、感謝していることのほうが多いのですが、しかしなぜか普段日本では遭遇しないやりとりをするはめに陥ることが、確実に、ある。というより、アメリカで暮らした人のたぶんほとんどが一度や二度はこういう経験をしていると思います。サービスカウンターの人がサービスしてくれること、これもまたCHANGE WE NEED。
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